素人系総合 wiki - 烏丸紅矢

烏丸紅矢【からすまこうや】

登場作品:クレナイノツキ

 主人公。11月7日生まれ。暮月調査事務所に所属する探偵。依頼を受けて新幹線に電車とバスを乗り継いで山奥まで調査にやって来た。切り落とされた「鬼の腕」を連想させるほどの「剛腕」。左の薬指には瀟洒な作りの指輪がはめられていた──その腕の持ち主(祖父江百合とされた)が本当に自分の妻なのかどうか、警察の調査に納得のいかない被害者の夫ら家族が事務所に捜査を依頼したというわけである。
 7時間に及ぶ捜索の末、疲労と空腹のあまり思考が散漫になっていた折、ふと若い姉妹の声が聞こえた。力を振り絞ってその方向に体を走らせたが、紅矢が踏み込んだ先は崖になっており、そのまま怪無川の沢に落下してしまう。幸いちょうど水浴び中だった姉妹(鷺宮沙生鷺宮姫織)に助けられ、曲木村にある彼女らの家(鷺宮家)で姉妹やその母のステラと共に生活することになった。この時ステラから鷺宮家の家訓を告げられ、沙生か姫織を妻として娶るよう迫られることになる。
 紅矢は元孤児であり、親の顔どころか生まれた正確な日付すら知らない。まだ生まれて数か月しか経っていない頃に捨てられた。雪が降り積もった冬の寒い朝で、くるみの中には病院の術着のような薄い肌着一枚だけだったらしい。十代の頃は荒れており、喧嘩も相当数して少年院に送られたこともあるという。左手の中指が曲がらない。子供の頃の病気が原因という話だが、指の関節が癒着してしまっている(真角を参照)。
 親の記憶すらない紅矢が唯一持っている記憶が「紅の月」の記憶だった。暗い森の中、草むらに仰向けに寝かされた生まれたばかりの紅矢。夜空に浮かび上がるのは真っ赤に染まった満月。父母を求める手に応える人は誰もなく、やがて巨大で真っ黒な影がゆっくりと覆い被さって来て、その影が何かを呟いた瞬間、血を浴びて気を失うというもので、夢はいつもそこで途切れる。分かっているのは横に紅矢の母親らしき死体があり、紅矢が何者かに見つめられ、見下ろされていること。小さい頃から繰り返し見てきた悪夢だが、大人になるにつれて頻度が少なくなり、ここ3ヶ月は見なくて済んでいた。しかし村で再びその悪夢を見ることになる。夢は紅矢を狂わせる。この夢は昔から紅矢が誰かに苛められたりする度にやって来て、苛めた方は決まって鮮血を流して倒れているという。背筋を得体の知れない悪寒が走ることがあるが、それは嫌なことが起こりそうな時に感じる癖だという。
 好奇心が強い。未知のものを見ると抑えきれない好奇心と奇妙な興奮が湧き上がってくる。謎の真相に迫ると全ての理屈を超越して真相が近いことを悟る超感覚を持っている。これは時雨にもないの力である。
 実は可畏となった金武を父に、そして天狗の長の妹である流迦を母に持つ人物。音無朱梨は叔母にあたる。の総領と天狗の王家の娘の子である紅矢をめぐって両者は対立し、どちらの特質を持っているかで決着をつけようと図ったが、結局紅矢がどちらの才能も特質も受け継いでいなかったため、捨てられたという。それが半年前に紅矢が鬼の力を発現させたことから両者は色めき出つ。紅矢がある事件を追っていて、犯人の男に銃で撃たれたものの普通の人間なら避けられるはずのない至近弾をとっさにかわすことができたのだという。ひょっとすれば鬼と天狗の双方の血が目覚めるかもしれないと考えた両者は協定を結び、沙生を選ぶか姫織を選ぶかで鬼と天狗のどちらに帰属するかを決めさせようとした。


セリフ

「現実の探偵は小説や映画ほど格好いいものじゃないからね」
→探偵小説を読まないのかと姫織に尋ねられて。

「自分が何者か、なんて、誰も本当の所は分かっちゃいないよ」「だったら、自分の好きな自分になればいいのさ」

「俺たちは鳥じゃない」「地上にある嫌なことから逃げ出してしまうわけにもいかないし、全ての事を見通せるわけでもない」「だから……自分の足で立つしかないんだ」
鷺宮姫織のセリフに対して。

「人の価値や美しさはそんな事で決まるんじゃないんだよ。全てはその人間の中身の問題さ」


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