CV:大野まりな?/登場作品:クレナイノツキ
鷺宮家の次女。2月9日生まれ。身長145cm B78 W53 H76。目が覚めるような金髪の少女。巫女装束をまとっている。
沙生と共に水浴び中のところを
烏丸紅矢に見られたため、
鷺宮家の家訓に従い、沙生とともに紅矢の花嫁候補となる。
元は東京に住んでおり、実の父の実家に里帰りした時に事故に遭い、その時に父親を亡くしてしまったと話す(この一文は名目上のものである。後述参照)。
ステラの連れ子で3歳の時に越してきた。姫織は父の顔も知らないという。村人は先代を慕っており、後妻に入ったステラはともかく赤の他人の子である姫織は「よそ者」として差別され、日常的に陰湿な苛めを受けている。これには実父の出自が
天狗の子孫とされる
アブキ谷に連なることも影響している。
天狗と鬼の国盗り合戦にも残るように
鬼(の子孫とされる
曲木村)と天狗(の子孫とされるアブキ谷)は互いに反目している。曲木村には天狗の下僕とされるカラスは殺して屋根に曝すという風習があるため、姫織の部屋の前にわざとカラスの死体を張り付ける嫌がらせをする村人もいるという。
肉が好きだが、電気のない村ゆえに保存がきかないこともあってあまり食べられないという。また、銀杏は気持ち悪くて苦手である(食べず嫌い)。
紅矢によると元気だが、おっちょこちょいで、どこに飛んで跳ねていくか分からない点で子鹿のバンビに似ている。ステラが昔読んでいた探偵小説の主人公である「フィリップ・マーロウ」がお気に入りである。
遺伝子的に異常はないが、元来「ジャンクDNA」と呼ばれ役に立たないとされてきた非蛋白質コード領域の塩基配列に妙に規則性があるという。
家では掃除担当であり、いつも箒を持っている姿を見ることができる。
憂流迦の一族の中で唯一「
ヒヒイロカネ」を使うことができ、姫織はそれを箒の中に忍ばせている。
実は村を見張るために天狗の里(アブキ谷)から送り込まれたスパイである。20年前の「
終儺の儀」の時に姫織の実の父は
可畏に殺害された。姫織は鬼の一族が再び同じ惨劇を繰り返さないように見張るために送り込まれたのだという。そして仮に終儺の儀が失敗した場合、姫織は沙生に手を掛かけなければならない(沙生の項目を参照)。しかし、鷺宮家に来て新たに父となる
鷺宮伊吹や姉となる沙生と出会い、初めて本当の家族を知り、離れたくないと思っている。
「お姉ちゃん」と呼んで慕う沙生は姫織の負った役目も知りつつ、優しく受け入れてくれた。姫織にとってかけがえのない存在であり、もう沙生なしの暮らしなど考えられないという。また姉の幸せを切に願っている。
専用ルートでは、姫織が上記のような自分の役目、それによって沙生を亡くしてしまうかもしれないという哀しみを紅矢に打ち明け、紅矢がこれを受け入れたことに始まる。紅矢が姫織と結婚して沙生ともども守ると約束し、二人は初めて交わる。
ある夜、紅矢は沙生が裏木戸から出ていくのを目撃する。追って行くと
穏の石刀にある
音無朱梨の庵に行きつき、そこで二人が鶏の血を飲むところを目撃することになる。生臭い血の匂いにあてられて物音を立ててしまい、逃げようとした紅矢だが、沙生と朱梨に捕まって庵の中に連れてこられることになる。そして現在
早瀬勝正を中心とした反動メンバーがアブキ谷への侵攻を計画しており、万が一沙生が終儺の儀に失敗して鷺宮の権威が失墜することになれば彼らが村の主導権を握り、鬼と天狗の全面抗争に発展しかねないという事情を打ち明けられる。紅矢の血は特殊であり(紅矢の項目を参照)、儀式を成功させるためには是非必要だという朱梨の言に従い、紅矢は血を提供する。
それ以来朱梨の庵で生活するようになった沙生のために二人は
真角探しを決意する。事情を知ってそうな
西園寺功のことでステラに話を聞こうと神社へ戻って来ると、ステラが勝正の取り巻きである村人に陵辱されているところを目撃する。何とかステラを救出した紅矢だが、今度は姫織を見失う。大銀杏のところでステラを探していた姫織は
早瀬智則から強姦されそうになっていたのである。姫織は智則からステラが昔自分を庇って陵辱されていたことや沙生の儀式が成功した暁には母娘ともども生贄に差し出すことなどを聞かされて頭に血が上り、天狗の力を発現させて殺してしまう。
智則の死は村中を駆け巡り、殺気立った勝正ら村人は神社に押し掛ける事態に発展した。沙生が穏の石刀から掛け戻り、窮地を脱するも、そこで沙生は予定を一日早めて終儺の儀を成功させると宣言する。
沙生が鬼の小手で可畏の心臓を貫いて動きを止め、紅矢が
鬼の包丁で可畏の首を刎ねるという計画の元、穏の石刀で可畏と戦い、倒すことに成功するが、その直後沙生が
悪鬼の力を体内に受け入れてしまう。姫織は悲しみを押して討伐に向かい、両足の腱を切ったが、最後に首を刎ねる際に逡巡することになる。沙生はその様子を見て嘲り「惰弱な妹」だと言い放ち、ヒヒイロカネを払い落して村人に姫織を犯すように命令する。危機が迫る中、
天狗倒しが襲来し、姫織を襲っていた村人が一瞬して血の海と化した。姫織自身も豹変して紅矢やステラを襲っていた村人をバラバラに斬り捨てる。もはや完全に自我を失った姫織は沙生の急所である角を切り落とした後も残る村人に襲いかかり続ける。
憂流迦の一族が暴走した場合、その足を止めることでしか助けることができない。しかし、その俊足は流星と呼ばれるほどに早く、鬼神であろうと止めることはできない。止められるのは同じく限界を越えて流星となったもののみ。このため、憂流迦の一族はこれまでに多くの民を亡くしてきたという。
暴走する姫織にも限界が差し掛かりつつあった。鼻や耳からは血が流れ出し絶命が近いことを悟った紅矢は手を広げ姫織を真正面から受け止めた。ヒヒイロカネが紅矢の胸を深く貫いた時、姫織は我に返る。息絶える紅矢は最後に「……言っただろ?……絶対に……この……手をはなさない……て…………」と述べる。
その後沙生は治療のため東京の四鬼会の病院へリハビリに行き、ステラは村人がほとんどいなくなった曲木村で鷺宮の家を守り続けている。姫織は紅矢のことだけ案じていなさいとステラに言われ、アブキ谷へ送り出された。紅矢は3年間カプセルに入れられたものの遂に息を吹き返すことになる。